中小企業向けの
採用プロセス設計ガイド

中小企業のための「売り込み先行型」採用プロセス

最終更新日:

この記事でわかること

目次

ポイントまとめ

  • 中小企業は、求人を出して応募を待つだけのやり方だと採用がうまく進みにくいことが多いです。
  • 売り込み先行型の採用プロセスでは、正式な面接の前にソーシング、スカウト、スクリーニングを行います。
  • ソーシングは、最初から厳しく絞り込むより、広く候補者を集めるところから始めるのが大事です。
  • スカウトは、できるだけ立場のある信頼感の高い人が送り、給与や福利厚生、仕事の魅力をはっきり伝えるのが効果的です。
  • スクリーニングでは相性をざっくり確認しつつ、時間の大半をポジションの魅力づけに使い、できればその場で面接日程まで決めるのが理想です。

今の採用プロセス、もしかすると間違っているかもしれません

採用の仕事をしてきて、いつも不思議に思っていたことがあります。多くの会社が、採用になるとほぼ同じ動きをしていることです。求人を出して、応募を待って、候補者が来たら面接を始める。そんな流れです。

ただ、このやり方には前提があります。それは、求人票だけで求職者の興味を引けて、十分な候補者パイプラインを作れるという前提です。
でも、実際はそうならないことがほとんどです。特に、知名度の高いブランドがない中小企業ではなおさらです。

このやり方で採用している中小企業なら、候補者がなかなか集まらないこと、採用に時間がかかること、そして採用できる見込みが見えにくいことに悩んでいるはずです。
その理由はシンプルで、採用プロセスには2種類あるのに、今の会社に合わない方を使っているからです。

あなたの会社は Groupon 型ですか? それとも Google 型ですか?

採用担当として働いていた後半、私は社内リクルーターとして2つのテック企業で働きました。Groupon(日本オフィス)Google(英国拠点、EMEA担当)です。肩書きは似ていても、やっている仕事の中身はまったく別物でした。

Googleのような会社で働きたい人はとても多いので、シンプルに求人を出すだけでも業界内外から優秀な候補者が集まります。だから私の仕事は、どちらかというとフィルター役、つまり最も優秀な候補者を見極めて選び抜くことでした。FAANGの採用プロセスは一般的にかなり複雑で、複数回の面接や、調整された承認済みの質問、詳細な評価フィードバック、採用委員会などがあります。強い採用ブランドがあるからこそ、こうした何重ものフィルターをかけても候補者がついてきます。

一方で、前職のGrouponでは状況がまったく違いました。世界的には知られた会社でも、日本での存在感は限定的で、さらに全国的な配送トラブル、いわゆるおせち問題もありました。加えて、日本ではブランドに不安のある小規模な外資系企業は、一般的な国内企業より信頼されにくい傾向もあります。

そのため、採用担当として求人票だけに頼ることはできませんでした。関連する候補者が自然応募してくることはほとんどなかったからです。私はフィルター役ではなく、営業役になりました。候補者という見込み客を見つけて、採用プロセスに進んでもらえるように、仕事の魅力をしっかり伝えていく必要がありました。つまり、リード獲得と営業から始まり、その後でようやく選考のフェーズに入る採用プロセスが必要だったわけです。

中小企業なら、基本的には Groupon 型です。だからこそ、採用プロセスもそれに合わせて変える必要があります。まずは売り込むことが先です。
つまり、こういう流れから:

求人票の掲載と応募待ちを中心にした、一般的な採用プロセスを示す図
一般的な採用プロセス

こう変えていく必要があります:

中小企業向けの売り込み先行型採用プロセスとして、ソーシング、スカウト、スクリーニング、面接を示す図
売り込み先行型の採用プロセス

この記事では、私が考える「売り込み先行型」採用プロセスの進め方を説明します。最初に全体像を整理したうえで、ソーシング、スカウト、スクリーニングの各ステップを順番に深掘りしていきます。

「売り込み先行型」採用プロセスの全体像

先にお伝えしておくと、この採用プロセスは最初は少しやりにくく感じるかもしれません。
営業が得意なタイプでなければ、知らない人に連絡してポジションの魅力を伝えるのは、思っている以上にハードルが高く感じるはずです。しかも、その前には「そもそもどうやって候補者を見つけるのか」を理解しないといけません。これ自体がひとつの仕事です。だから私は、SaiyouTeamのような専用のソーシングサービスを使わない場合でも、なるべく効率よく進められるようにこのガイドを書きました。

このガイドでは、私が「売り込み先行型採用プロセス」と呼んでいる流れのうち、最初の3ステップに絞って解説します。それが次の3つです。

  • ソーシング。候補者を探してリストアップする工程です。営業で言えば、見込み客を見つける段階です。
  • スカウト。候補者に連絡を取る工程です。営業で言えば、リードを作る動きに近いです。
  • スクリーニング。最初の会話を通じて相性をざっくり見ながら、合いそうな候補者にポジションの魅力を伝える工程です。営業では、本格的に提案する前のリード見極めに近いイメージです。

ソーシング

採用の世界でいうソーシングとは、いわゆる「転職顕在化していない候補者」を見つけることです。求人に自分から応募してくる候補者(アクティブ候補者)とは違い、まだあなたの会社に興味を示していない人たちのことです。

「探していない人はいい候補者ではないのでは」と思うかもしれませんが、実際はそんなことはありません。新しい機会を探している人もいますし、少なくとも話を聞いてみたいと思っている人もかなりいます。
ただ、彼らはまだあなたの会社を知らないだけです。そこを変えるのが、あなた自身、もしくは採用担当の役目です。

ソーシングをしやすくするプラットフォームはいろいろあります。詳しい説明はこの記事の範囲を超えるので省きますが、世界的に最も有名なのは LinkedIn です。日本だと Wantedly のように、候補者を探してスカウトを送れるサービスもあります。InMail や Scout Mail のような仕組みを使って連絡できます。

ただし、こうしたツールを使いこなして、狙いたい候補者をきちんと浮かび上がらせるにはコツが必要です。やり方がわからないとかなり時間がかかるので、ここでリクルーターやソーサーの経験が活きてきます。

ただ、戦略面でひとつとても大事な考え方があります。
ソーシングは一本釣りではなく、まずは大きな網で広く拾うものとして考えるべきです。

候補者のプロフィール情報は、抜け漏れが多かったり、更新されていなかったりすることがよくあります。しかも、プロフィールだけでその人の全体像がわかることはほとんどありません。ここで厳しく絞り込みすぎると、本来十分に合う候補者を何百人も落としてしまう可能性があります。
実際、LinkedIn に肩書きしか書いていないのに採用して大当たりだった人もいれば、紙の上では完璧に見えたのに面接で期待外れだった人もいました。

もう一度言うと、今は絞り込む段階ではなく、売り込む段階です。だから、少しでも合いそうなら基本的に「可能性あり」として扱い、まずは候補者を広くリストアップします。シンプルに言えば、最初はかなり大きな候補者リストから始めるべきです。早い段階で絞り込みすぎるのは時間のムダです。どうせ詳細にプロフィールを読んでも、そのうち90%はスカウトに返信しないからです。

ソーシング段階で本当に大事なのは、自社の条件に対して市場全体の人材プールにどれだけ近づけるかです。ひとつの目安として、一般的なソフトウェアエンジニア職なら、私は500人から1,000人くらい候補者をリストアップしてからスカウトを始めるのが好きです。

また、ソーシング作業はなるべく最初にまとめてやる方がいいです。理由は2つあります。

(1) 理想的には、候補者は同じタイムラインで選考を進めたいからです。最終面接に近い候補者を待たせながら、今から新しく連絡した候補者のスクリーニングを急いで入れる、という状況は避けたいところです。

(2) 採用判断は、情報がそろっているほど良くなります。まず大事なのは、自分たちの人材プールの広さを把握することです。たとえば、自社の条件に合う候補者を200人から500人もリストアップできないなら、その採用要件は厳しすぎる可能性があります。

SaiyouTeam は候補者ソーシングを得意としているので、サポートが必要ならぜひご相談ください

ポイント
  • 候補者検索では、できるだけ広い条件で探し、まずは十分な数の候補者リスト(理想は500人程度)を作るのがおすすめです。そうすることで、最終的に採用したい人が母集団の中にきちんと入ります。
  • その方が、より多くのプロフィール情報を見ながら、人材プール全体を把握したうえで判断できるので、採用の意思決定もしやすくなります。

スカウト

次は、自社の存在を知ってもらうフェーズです。

まず、誰がスカウトを送るべきかについてです。有名なブランドではない会社が、まだ自社を知らない人に連絡するわけなので、できるだけ良い形で最初の接点を作る必要があります。そのため、スカウトを送るのは最も権限があり、信頼感のある人が理想です。

従業員30名未満の会社なら、CEOが送るのがおすすめです。
30名から80名くらいなら、採用マネージャーや専任リクルーターでも大丈夫です。理由はシンプルで、候補者は一般社員からの連絡よりも、CEOが時間を取って直接連絡してきた方が反応しやすいからです。これは特に、役職や上下関係を重視する傾向が強い日本ではより当てはまります。

もうひとつ大事なのは、候補者ごとにメッセージを少し合わせることです。そうすることで、「誰にでも送っている定型文」ではなく、「この人だから連絡している」と伝わります。スカウト文では、なぜその人が今回の募集に合いそうだと思ったのか、そしてその人にとって何が魅力なのかをきちんと伝えるべきです。たとえば、キャリアアップのチャンスなのか、休暇制度なのか、そのポジションならではの魅力です。

さらに、給与レンジ付きの求人票を送ることをおすすめします。日本ではコンプライアンスの観点でも一般的ですし、候補者がまず気にするのはやはり給与だからです。ここは最初に答えてしまった方がいいです。隠して引っ張る必要はありません。もし提示給与が合わなければ、候補者はそう言ってくれますし、お互いに時間を無駄にせずに済みます。加えて、これによって実際の市場調査もできます。つまり、自社の条件が人材市場でどう見られているかを、候補者との接点を通じてそのまま確かめられます。

最後に、スカウトには同じ週の15〜20分の通話への誘導も入れておきましょう。表現としては、面接というより「カジュアルに情報交換するお話の場」に近い言い方にしておくのがおすすめです。そうした方が、相手にとってテスト感や準備の負担感が出にくくなります。

ポイント
  • 候補者への連絡は、できるだけ立場が上の人(CEOまたは採用マネージャー)が行い、給与や福利厚生、その他の魅力が伝わるスカウト文にしましょう。
  • いきなり大きなお願いをするのではなく、まずは今後数日以内の15〜20分の情報交換の場を提案するのが効果的です。

スクリーニング

このフェーズを「スクリーニング」と呼んでいるのは、正式な面接の前に行う最初の導入的な会話を、業界では一般的にそう呼ぶからです。
ただし、ここで誤解してほしくないのは、このフェーズは絞り込みよりも魅力づけの方が中心だということです。ここまで読んでいただければ、だんだんパターンが見えてきたのではないでしょうか 😉

この会話には2つの目的があります。

  • (1) 相性をざっくり確認すること。 候補者の経歴、スキル、現在の状況、興味の度合いを短時間でつかみます。
  • (2) 面接に進んでもらいたい候補者であれば、そこでポジションの魅力をしっかり伝えることです。

相性を確認する

ここで行う見極めは、その候補者のプロフィールがポジションに関連しそうかどうかを確認する程度です。テストをしたり、厳しい質問をしたりする場ではありません。まだ相手は「コールドな見込み候補者」だからです。この段階で確認したいのは、「この人は面接する価値があるかどうか」です。

少し感覚がつかみにくいかもしれませんが、実際には、これまでのキャリアの流れ、直近または関連する経験の概要、次に何を目指しているのか、といった一般的な質問をすれば十分です。それで大まかな条件に合っていそうなら、そこからはポジションの魅力づけに切り替えましょう。

ポジションの魅力を伝える

忘れてはいけないのは、最初に連絡したのはこちら側であり、候補者はその前まであなたの会社を知らなかった可能性が高いということです。だからこそ、通話の主役は候補者であるべきです。事業内容やポジションをわかりやすく説明し、相手の質問に答えられるように準備しておきましょう。この通話は、候補者にとって情報を得る場であることが大事です。

自社の強みをしっかり伝えてください。たとえば、キャリアの広がり、福利厚生、働く雰囲気、上司との相性などです。このポジションをひとつのオファーとして考え、合う人にとって何が魅力になるかを整理しておくと話しやすくなります。

面接はその場で押さえる

ここでひとつ、かなり大事なコツがあります。相手が興味を持っていそうなら、その場で面接日程を押さえてください。 いわゆる「熱いうちに打つ」という考え方です。コミットを取りやすいタイミングは、まさにその会話の最中だからです。

少し前のめりに感じるかもしれませんが、これは優秀な営業担当がよく言うことであり、リクルーターが日常的にやっていることでもあります。

ポイント
  • ここでは一般的な相性確認だけにとどめて、時間の大半はポジションの魅力を伝えることに使いましょう。
  • 可能であれば、通話中にそのまま面接日程を確定すると成果につながりやすくなります。

面接

スクリーニングが終わって面接日程が決まった時点で、候補者は正式に選考を受けることに同意している状態です。ここで初めて履歴書や職務経歴書を依頼し、正式な面接に進めます。
ようやくここからが、いわゆる「一般的な採用プロセス」のパートです。こちらからしっかり見極めるための質問もできるようになります。

この時点までに、あなたは人材プールの量を最大化し、関連する候補者をできるだけ多く集められているはずです。つまり、良い採用判断をするためのいちばん良い状態に入れています。
自社が実際に惹きつけられる人材プールの全体像も見えてくるので、どこで妥協し、どこは譲らないべきかの判断もしやすくなります。また、フェーズごとに分けた採用プロセスで進めているため、採用にどれくらい時間がかかるのか(Time-To-Hire)も読みやすくなります。

これが、本質的にはトップ企業の社内リクルーターがやっている仕事です。採用マネージャーへの戦略アドバイス、候補者体験の改善、採用効率の最適化、主要な採用KPIのトラッキングまで含まれます。中小企業には Google のような採用体制はなかなか持てないので、私はその代わりになるサービスとして SaiyouTeam を立ち上げました。必要な時だけ使える形で、しかも一般的な人材紹介会社よりずっと抑えたコストで提供しています。無料相談もあるので、ぜひ気軽にご連絡ください。

効率の良い採用プロセスを作りたい方に向けて、 SaiyouTeam では日本の中小企業向けに特化した採用代行・候補者ソーシングサービスを提供しています。採用の進め方について相談したい場合は、無料相談をご予約ください

著者について

創業者で採用の専門家、元Googleリクルーターの Emmanuel Gendre の写真
Emmanuel Gendre
Founder & Hiring Expert
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Emmanuel は、採用領域で12年の経験を持つ Talent Acquisition の専門家です。日本ではリクルートメントコンサルタントとして、EMEA ではGoogle のリクルーターとして採用に携わってきました。2023年には、中小企業のIT人材採用を支援するために TechieCV K.K. を設立しました。

FAQ

中小企業向けの採用プロセスづくりでよくある質問をまとめました。

そのやり方は、求人票だけで十分な数の関連候補者を集められることを前提にしています。でも、知名度の高いブランドがない中小企業では、実際にはそうならないことが多いからです。

この内容を実際に進めたい方へ

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