知的財産権譲渡契約書(IP Assignment Agreement)

業務遂行の過程で生まれた特許、著作権、意匠、営業秘密の所有権を使用者に譲渡する契約書。特許法第35条および著作権法第15条に準拠します。

最終確認: · 日本の人事実務における制限条項フローに準拠

知的財産権譲渡契約書ジェネレーター

知的財産権譲渡契約書

株式会社サンプル(以下「甲」という。)と田中 太郎(以下「乙」という。)は、乙の業務遂行の過程で創出される知的財産権の取扱いについて、以下のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。

  1. 第1条(目的) 本契約は、甲と乙が、乙の業務遂行の過程で創出される知的財産権の取扱いについて定めることを目的とする。
  2. 第2条(譲渡対象の範囲) 1. 乙が業務遂行の過程で創出する次の知的財産権(以下「本知的財産権」という。)を本契約の対象とする:著作権、特許権、実用新案権、意匠権、ノウハウ・営業秘密 2. 著作物については、著作権法第15条(職務著作)により、乙が職務上作成した著作物の著作権は当初から甲に帰属するものとし、本契約はこれを確認するとともに補完するものである。 3. 特許権、実用新案権、意匠権その他登録を要する権利については、特許法第35条等の規定に従い、乙から甲への明示的な譲渡が必要であることを甲乙確認する。本契約に基づき、乙はこれらの権利を甲に譲渡する。
  3. 第3条(将来発生する権利の譲渡) 乙は、本契約締結日(2026年4月1日)以降、業務遂行の過程で創出する本知的財産権について、その発生と同時に甲に譲渡するものとする。本譲渡には、特許を受ける権利、実用新案登録を受ける権利、意匠登録を受ける権利、その他一切の関連する権利を含む。
  4. 第4条(過去に作成済みの知的財産権の譲渡) 乙は、本契約締結日以前に創出した次の知的財産権を、本契約締結日付で甲に譲渡する:2026年3月までに乙が単独で開発したソフトウェア「Sample Tool v1.0」のソースコード及び関連ドキュメント一式。
  5. 第5条(相当の利益/特許法第35条) 1. 甲は、特許法第35条(職務発明)の規定に従い、乙が職務上創出した発明等の譲渡の対価として、相当の利益を乙に提供する。相当の利益の支払形態は次のとおりとする:一時金 2. 一時金として金100,000円を支払う。 3. 相当性の判断基準:発明により甲が受けるべき利益の額、関連する負担、貢献度、乙の処遇を考慮して、当事者間で合理的に協議の上算定する。
  6. 第6条(著作者人格権の不行使特約) 乙は、甲及び甲が指定する第三者に対して、本知的財産権に係る著作物について著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)を行使しないものとする。著作者人格権は譲渡できないが、乙は当該権利を行使しないことを本契約により合意する。
  7. 第7条(譲渡人の協力義務) 1. 乙は、甲が本知的財産権の出願、登録、権利化、権利行使その他必要な手続を行うために必要な書類への署名、捺印、宣誓その他一切の協力を、甲の費用負担にて行うものとする。 2. 乙は、本知的財産権に関連する技術情報、設計資料、ソースコード、その他関連資料を甲に開示・提供するものとする。 3. 乙は、本知的財産権が第三者の権利を侵害していないこと、及び本知的財産権について第三者に対して譲渡又は実施許諾をしていないことを表明し保証する。
  8. 第8条(表明保証) 乙は、本契約締結時点において、本知的財産権が乙の独自の創作によるものであり、乙が正当な権利者であること、第三者の権利を侵害していないこと、及び本知的財産権に第三者の権利が設定されていないことを甲に対して表明し保証する。
  9. 第9条(適用除外) 1. 次に掲げる乙の既存知的財産権は、本契約による譲渡の対象外とする:入社前に乙が開発した個人プロジェクト「Personal Library v0.1」(GitHub上で公開)。 2. 乙が業務時間外に、甲の設備、資材、情報その他のリソースを一切使用せず、かつ甲の事業範囲と関連しない領域において独自に創作した著作物・発明等は、本契約による譲渡の対象外とする。
  10. 第10条(損害賠償) 乙が本契約に違反した場合、乙は、甲がこれにより被った損害(合理的な弁護士費用を含む。)を賠償する責任を負うものとする。
  11. 第11条(合意管轄) 本契約は日本法に準拠し、これに従って解釈されるものとする。本契約に関する紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
  12. 第12条(協議事項) 本契約に定めのない事項又は本契約の解釈について疑義が生じた場合は、甲乙誠意をもって協議の上、これを解決するものとする。

以上を証するため、本契約書2通を作成し、甲乙署名捺印の上、各1通を保有する。

2026年4月1日

甲(譲受人)

〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-1-1

株式会社サンプル

代表取締役 山田 花子 印

乙(譲渡人)

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-4-5

ソフトウェアエンジニア 田中 太郎

署名          印

調印用に出力しますか? 上記プレビューの内容でPDFをダウンロードできます。メールアドレスはPDFの送付確認のみに使用します。

公式情報源

本テンプレートは、以下の日本政府の一次情報源に基づいて作成されています。発行機関のページで根拠規定をご確認いただけます。

  • e-Gov法令検索 - 特許法 第35条(職務発明) 職務発明に関する特許法第35条。会社は就業規則により当初から特許を受ける権利を取得できるが、発明者である従業員に相当の利益を提供する義務がある。
  • e-Gov法令検索 - 著作権法 第15条(職務著作) 業務上作成された著作物の著作権は使用者に自動的に帰属する(職務著作)。特許とは異なり、別途の譲渡契約は不要。
  • 特許庁 特許・実用新案・意匠・商標を所管する官庁。職務発明の対価に関するガイドラインを公表。

概要

知的財産権譲渡契約書(IP Assignment Agreement)とは

知的財産権譲渡契約書は、譲渡人(通常、従業員、委託先、開発者)が特定の知的財産権を譲受人(会社)に譲渡する契約書です。日本法は知財の種類によって取り扱いが異なります。職務として作成された著作物の著作権は、著作権法第15条により使用者に自動的に帰属しますが、特許権、実用新案権、意匠権、営業秘密などは、特許法第35条に基づき発明者(従業員)から会社への明示的な譲渡が必要です。2015年の特許法改正により、会社は適切に整備された就業規則に基づき、職務発明の特許を受ける権利を当初から取得できるようになりました(発明した従業員に相当の利益を提供することが条件)。

使用タイミング

この書面を使用するタイミング

  • R&D、ソフトウェア開発、デザイン、クリエイティブ職など、知財が業務の重要な成果となる従業員
  • カスタム成果物を制作する委託先・外部開発者
  • 特許が事業の中心となる業界(製造、バイオ、半導体、ソフトウェアなど)の新入社員
  • M&A時に個別発明者の権利を譲受人が引き継ぐ必要があるケース
  • 共同開発において当事者間の知財配分を明示する必要があるケース

記載事項

記載すべき項目

  • 譲渡人(従業員または委託先)および譲受人(会社)の特定
  • 譲渡される具体的な知的財産、または会社の事業範囲内で雇用期間中に創出される知的財産すべての包括的な事前譲渡
  • 譲渡の効力発生日
  • 特許譲渡の相当の利益:一時金、継続的なロイヤリティ、または明示的に紐付けた給与構成部分
  • 著作者人格権の取り扱い:著作者人格権は譲渡できないが、不行使特約の対象とできる
  • 協力義務:譲渡書類の署名、技術情報の提供、会社名義での特許出願・権利化への協力
  • 表明保証:譲渡人がクリーンな権利を有すること、同じ知財を過去に他者に譲渡していないこと、第三者の権利を侵害しないこと
  • 適用除外:譲渡人の既存IP、雇用範囲外の個人プロジェクト、会社のリソースを使用せず完全に私的な時間と機材で開発したIP

法的根拠

知財の種類により、日本法のデフォルトルールが異なります。職務として作成された著作物の著作権は、著作権法第15条により使用者に自動的に帰属し、別途の譲渡契約は不要です。ただし著作者人格権について契約で確認する必要があります。特許権・実用新案権は、特許法第35条により発明者(個人としての従業員)から明示的な譲渡が必要です。2015年改正により、会社は就業規則を通じて当初から特許を受ける権利を取得できるようになりましたが、発明者に相当の利益を提供することが条件です。営業秘密は、不正競争防止法の三要件(秘密管理性、有用性、非公知性)を満たす場合に保護されます。特許庁は相当の利益の算定方法および職務発明の権利化手続に関する詳細なガイドラインを公表しています。

よくある質問

知的財産権譲渡契約書に関するよくある質問

使用者は従業員の発明やソフトウェアを自動的に所有しますか?

業務上作成されたソフトウェアその他の著作物の著作権は、著作権法第15条により使用者に自動的に帰属するため、別途の譲渡契約は不要です。特許は同様には扱われません。特許法第35条により、特許を受ける権利は当初発明者(従業員)に帰属します。会社は適切に整備された就業規則と対価の提供により、当初から当該権利を取得できますが、明示的な書面が必要です。

特許譲渡にはどのような対価が必要ですか?

特許法第35条は、特許権が使用者に譲渡される発明者に対する「相当の利益」を要求しています。利益は金銭的(一時金、ロイヤリティ、マイルストーンボーナスなど)または非金銭的(キャリア向上、表彰、研修機会など)のいずれでもよいですが、就業規則または譲渡契約書に明示し、一貫して適用する必要があります。利益が不十分または恣意的である場合が、発明者が譲渡を争う最も多い根拠です。

入社前に作成した知財を譲渡対象から除外できますか?

適切な除外条項により可能です。譲渡契約書には、従業員が保持する既存IPをリスト化することが望ましく、具体的な項目(既存特許、ソフトウェア、デザインなど)と作成日を別表で示すことが推奨されます。明示的なリストがない場合、使用者が意図せず入社前の成果物にも権利を主張する可能性があり、紛争および譲渡の取消につながりかねません。

著作者人格権はどう扱いますか?

日本における著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)は譲渡できず、元の著作者に永続的に帰属します。使用者は不行使特約により対応します。著作者は会社の使用に対して著作者人格権を行使しないことを合意します。不行使特約は実効性があり、知財譲渡契約書において標準的な実務です。

知財譲渡は遡及的に効力を持ちますか?

将来の譲渡は契約日以降に創出されるIPを対象とします。過去のIPも譲渡可能ですが、契約書で明示的に特定し、対応する必要があります。新入社員の場合、雇用開始日以降の包括的な将来譲渡に加え、入社前の業務から持ち込み会社が使用するIPについて別途のインベントリーおよび譲渡を行うのが最もクリーンなパターンです。

著者について

Emmanuel Gendre(SaiyouTeam代表)
Emmanuel Gendre
SaiyouTeam代表 · TechieCV株式会社

Emmanuelは日本の中小企業(SMB)向けに人事・採用のアドバイザリー業務を行っています。日本での採用経験は12年に及び、リクルートメントコンサルタントとしてITプロフェッショナルの採用を支援してきました。それ以前はGoogleのリクルーターとしてEMEA地域のエンジニア採用を担当しています。制限条項関連の実務はSMBクライアントから日常的に相談を受けるテーマであり、本テンプレートはそのアドバイザリー業務の一環として作成し、実際のクライアントとの相談時にもEmmanuel自身が活用しています。

個別の契約案件については、Emmanuelは社会保険労務士・弁護士などの有資格者と連携して対応しています。本テンプレートはアドバイザリーの場で活用する目安であり、個別案件における専門家の助言に代わるものではありません。

重要事項。本テンプレートは一般的な計画立案を目的としたものであり、専門家の助言に代わるものではありません。日本の契約法は複雑で個別事案性が高いため、非定型の状況で本書面を発行する前に、契約・労務に詳しい弁護士または社会保険労務士にご相談ください。