出向契約書(Secondment Agreement)

雇用契約を出向元企業に残したまま、別会社で就労させる出向契約書。業務範囲、期間、給与負担、指揮命令、復帰条件を網羅します。

最終確認: · 日本の人事実務におけるステータス変更フローに準拠

出向契約書ジェネレーター

出 向 契 約 書

株式会社サンプル(以下「甲」という。)、株式会社パートナー(以下「乙」という。)及び鈴木 一郎(以下「丙」という。)は、丙の乙への出向に関し、以下のとおり出向契約(以下「本契約」という。)を締結する。

  1. 第1条(目的) 本契約は、甲が雇用する丙を、乙の指揮命令の下に出向させ、乙の業務に従事させることに関し、甲、乙及び丙の三者間の権利義務を定めることを目的とする。
  2. 第2条(出向期間) 丙の出向期間は、2026年6月1日から2028年5月31日までとする。但し、甲、乙及び丙の協議により、当該期間を変更することができる。
  3. 第3条(出向先での業務) 1. 丙は、出向期間中、乙の新規事業開発部において、プロジェクトマネージャーとして業務に従事する。業務上の指揮命令者は新規事業開発部 部長 佐藤 浩とする。 2. 丙の就業時間、休日その他の就業条件については、出向先の就業時間、休日、勤務地その他の就業条件に従うものとする。
  4. 第4条(給与・諸手当) 1. 丙の給与(基本給及び諸手当を含む。以下同じ。)は、出向元(甲)が直接丙に支払うものとし、出向先(乙)は給与負担金として甲に対しその全額を支払うものとする。 2. また、出向手当として月額¥50,000を、毎月の給与支給日に丙に支給する。
  5. 第5条(社会保険・労働保険) 丙の社会保険(健康保険、厚生年金保険)及び労働保険(雇用保険、労災保険)の手続並びに保険料の負担は、本出向期間中、出向元(甲)において継続するものとする。
  6. 第6条(休暇・福利厚生) 丙の年次有給休暇、特別休暇その他の休暇及び福利厚生については、原則として出向元(甲)の就業規則の定めるところによる。但し、出向先(乙)の業務運営上必要な場合は、甲乙協議の上、乙の制度を適用することができる。
  7. 第7条(秘密保持義務) 丙は、本出向期間中及び出向終了後においても、出向元(甲)及び出向先(乙)の業務上知り得た一切の機密情報、営業上又は技術上の秘密、個人情報並びに顧客情報を、甲又は乙の事前の書面による承諾なく、第三者に開示又は漏洩してはならず、本契約の目的以外の目的で使用してはならない。
  8. 第8条(知的財産権) 本出向期間中に丙が職務上行った発明、考案、創作その他の知的財産(以下「職務著作物等」という。)に係る権利は、出向先(乙)に帰属するものとする。但し、出向元(甲)の業務に直接関連して創作された著作物等については、別途協議の上、その帰属を定める。
  9. 第9条(出向の終了・原職復帰) 出向期間が満了したとき、又は本契約が解約されたときは、丙は速やかに出向元(甲)に復帰するものとする。復帰後の処遇については、次のとおりとする:出向直前の役職及び等級を踏まえ、出向期間中の経験・成果を考慮の上、甲が決定する。
  10. 第10条(中途解約) 甲、乙及び丙は、出向期間の満了前であっても、30日前までに相手方に書面で通知することにより、本契約を解約することができる。但し、丙の心身の事情、家族事情その他やむを得ない事由による場合は、当該予告期間を要しないものとする。
  11. 第11条(損害賠償) 甲、乙又は丙のいずれかが本契約に違反し、相手方に損害を与えた場合、当該違反者は、その損害を賠償する責任を負うものとする。
  12. 第12条(協議事項) 本契約に定めのない事項又は本契約の解釈について疑義が生じた場合は、甲、乙及び丙が誠意をもって協議の上、これを解決するものとする。
  13. 第13条(合意管轄) 本契約は日本法に準拠し、これに従って解釈されるものとする。本契約に関する紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

以上を証するため、本契約書3通を作成し、甲、乙及び丙が署名捺印の上、各1通を保有する。

2026年5月15日

甲(出向元)

〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-1-1

株式会社サンプル

代表取締役 山田 花子 印

乙(出向先)

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-3-4

株式会社パートナー

代表取締役 田中 太郎 印

丙(出向社員)

〒160-0023 東京都新宿区西新宿5-6-7

鈴木 一郎 印

調印用に出力しますか? 上記プレビューの内容でPDFをダウンロードできます。メールアドレスはPDFの送付確認のみに使用します。

公式情報源

本テンプレートは、以下の日本政府の一次情報源に基づいて作成されています。発行機関のページで根拠規定をご確認いただけます。

概要

出向契約書(Secondment Agreement)とは

出向契約書は、従業員がA社(出向元)に雇用されたまま、日々の業務はB社(出向先)で行うという形態を規律する契約書です。当初の雇用契約を終了させてB社と新たな契約を結ぶ転籍とは区別されます。グループ会社内、合弁事業、企業間コラボレーションでよく見られる形態です。

使用タイミング

この通知書を発行するタイミング

  • グループ会社内出向(子会社から親会社、関連会社間の人材交流)
  • 合弁事業(JV)が別法人の場合の人材配置
  • スキル開発を目的とした外部パートナー・顧客への出向
  • 組織再編に伴い雇用を維持しながら再配置するための出向
  • 日本法人から海外関連会社へのクロスボーダー出向

記載事項

通知書に記載すべき項目

  • 出向元および出向先の特定
  • 従業員の情報と両社における役職
  • 出向期間(開始日、終了日、更新条件)
  • 出向先での業務範囲
  • 報酬構造:直接支払う側、各種手当、社会保険・税金の負担
  • 出向先での指揮命令系統
  • 復帰条件(時期、復帰後の役職、報酬調整)
  • 秘密保持、知的財産、競業避止の例外
  • 終了条件:従業員から、いずれかの会社から、合意による終了
  • 三者署名:出向元、出向先、従業員

法的根拠

出向には明確な契約上の根拠が必要です。当初の雇用契約書または就業規則で出向が予定されていれば、使用者は明示された範囲内で出向命令を行うことができます。明示されていない場合は、個別の同意が必要です。出向先は日々の指揮命令権を有しますが、出向元が契約上の使用者として、解雇・休暇・その他のステータス判断について引き続き責任を負います。クロスボーダー出向では、税務上の居住地、就労ビザ、社会保障協定の検討が追加で必要になります。出向は労働者派遣(労働者派遣法に基づく派遣)とは異なる枠組みであり、両者の区別を厚生労働省のQ&Aが整理しています。

よくある質問

出向契約書に関するよくある質問

出向と転籍の違いは何ですか?

出向は当初の雇用契約を維持する形態で、従業員はA社との契約を残したままB社で就労します。転籍は当初の契約を終了させ、B社と新たに契約を結びます。出向には契約上の根拠または同意が必要ですが、転籍は常に個別の同意が必要です。

出向社員の給与は誰が支払いますか?

取り決めによります。一般的な3つのパターン:(1)出向元が直接支払い、出向先に請求する;(2)出向先が直接支払い、必要な場合に出向元が補填する;(3)一方が基本給を、他方が賞与・手当を分担して支払う。選択は税務・社会保険に影響するため、契約書で明確に定める必要があります。

出向には従業員の同意が必要ですか?

当初の雇用契約書または就業規則で出向が十分な明示性をもって予定されていれば(「使用者は国内グループ会社への出向を命じることができる」)、使用者は通知のみで実施可能です。当初の明示が無い、または曖昧な場合は個別の同意が必要です。明示範囲内であっても、受忍困難な個人的事情がある場合は無効と判断されることがあります。

出向期間中の社会保険はどうなりますか?

原則として、給与を支払う会社が社会保険の手続きを担当します。出向元が引き続き支払う場合は出向元で継続加入、出向先が支払う場合は出向先に切り替わります。両社で分担する場合はより複雑となるため、どちらの会社がどの保険料を負担するかを契約書で明示する必要があります。

出向は無期限にできますか?

無期限の出向は法的に認められますが、転籍の代替手段とみなされるリスクが高まります。3〜5年を超える明確な復帰計画のない出向は、裁判所により事実上の転籍と評価され、適切な同意が取得されたかが再審査される可能性があります。期間を定め、更新条項を明示することが推奨される実務です。

著者について

Emmanuel Gendre(SaiyouTeam代表)
Emmanuel Gendre
SaiyouTeam代表 · TechieCV株式会社

Emmanuelは日本の中小企業(SMB)向けに人事・採用のアドバイザリー業務を行っています。日本での採用経験は12年に及び、リクルートメントコンサルタントとしてITプロフェッショナルの採用を支援してきました。それ以前はGoogleのリクルーターとしてEMEA地域のエンジニア採用を担当しています。ステータス変更関連の業務はSMBクライアントから日常的に相談を受けるテーマであり、本テンプレートはそのアドバイザリー業務の一環として作成し、実際のクライアントとの相談時にもEmmanuel自身が活用しています。

個別の人事案件については、Emmanuelは社会保険労務士・弁護士などの有資格者と連携して対応しています。本テンプレートはアドバイザリーの場で活用する目安であり、個別案件における専門家の助言に代わるものではありません。

重要事項。本テンプレートは一般的な計画立案を目的としたものであり、専門家の助言に代わるものではありません。日本の労働法は複雑で個別事案性が高いため、非定型の状況でこの通知書を発行する前に、社会保険労務士または労働問題に詳しい弁護士にご相談ください。