給与計算シミュレーター(日本)
月額の額面から、手取り・企業負担コストを、社会保険料・税金・各種保険料の内訳まで一括で確認できます。
計算ツール
仕組み
日本の給与計算の流れを順に解説
日本の給与計算は3つの層で構成されます。法定の社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険、労災保険)、月額表で源泉徴収される所得税、そして従業員の住所地の市区町村が前年所得に基づき課税する住民税です。上のシミュレーターは、入力に応じて3つすべてをリアルタイムで再計算します。
1. 給与額そのものではなく標準報酬月額で算定
健康保険と厚生年金の保険料は、実際の給与額ではなく標準報酬月額(標報)に当てはめて計算します。健康保険は¥58,000〜¥1,390,000の50等級、厚生年金は¥650,000を上限とする32等級。月額¥800,000の高所得者でも、厚生年金の保険料額は¥650,000の人と同じになります。等級は通常4〜6月の平均給与から9月に決定し、3か月連続で2等級以上の変動がない限り年度途中の改定はありません。
2. 都道府県ごとに異なる健康保険料率
協会けんぽ(中小企業向け健康保険)は、各都道府県の医療費水準を踏まえて毎年度料率を見直します。2025年度の例では、東京9.91%、大阪10.34%、新潟9.31%、佐賀10.78%。料率は標準報酬月額に対して適用され、労使折半となります。40〜64歳には介護保険料(全国一律1.59%)が上乗せされます。
3. 厚生年金は18.30%で固定
厚生年金保険料率は2017年改定で18.30%に固定(労使折半)。標準報酬月額の上限が¥650,000なので、従業員負担分の最大額は月額約¥59,475となり、それ以上の給与でも保険料は同額です。
4. 所得税は国税庁の月額表で源泉徴収
「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出があれば、国税庁の月額表 甲欄により毎月源泉徴収します。表には復興特別所得税2.1%(2037年まで継続)が既に組み込まれています。扶養親族1名ごとに、月額の課税対象額が約¥31,667減少します。
5. 住民税は前年所得ベース
所得税と異なり、住民税(都道府県民税+市区町村民税で約10%)は前年の所得に基づいて課税されます。毎年5〜6月に、各従業員の住所地の市区町村から、向こう12か月分の月額が記載された通知が会社に届きます。シミュレーターは「現在の給与が前年とほぼ同じ」と仮定して概算しますが、実際の通知額がある場合は上書き欄に入力してください。海外からの新規来日者は初年度ゼロです。
知っておきたいエッジケース
- 介護保険料は65歳到達月で自動的に終了します。
- 労災保険料は会社負担のみ。事務系0.25%〜一般建設業9.5%まで、事業の種類で大きく異なります。
- 雇用保険料は標準報酬ではなく実際の給与額で計算します。
- 賞与は支給ごとに別の計算式で社会保険料・税金が算定されます。
用語解説
各保険料・税金の内容
健康保険
従業員と扶養家族の医療保障に充てられる。標準報酬月額をもとに算定し、東京は約9.91%、労使折半。協会けんぽは都道府県により料率が若干異なる。
介護保険
40歳〜64歳の従業員に追加で発生する保険料(約1.59%)。労使折半で、65歳到達月から自動で対象外となる。
厚生年金
会社員のための公的年金。2017年以降18.30%で固定(労使折半)。標準報酬月額は¥650,000を上限とするため、それ以上の給与でも保険料は同じ。
雇用保険
失業給付・教育訓練給付の財源。実際の給与額(標準報酬ではない)に対して計算。2025年度の一般事業:従業員0.55% + 会社0.90%。建設・農林等は料率が高い。
労災保険
業務上の傷病を補償。全額会社負担。事業の種類により0.25%〜9.5%と幅があり、事務系で0.25%、建設業では9.5%程度になることも。
所得税
「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出があれば、源泉徴収月額表 甲欄により毎月控除。復興特別所得税2.1%(2037年まで)を含む。扶養親族が増えるほど課税対象額が減少する。
住民税
前年の所得に基づき市区町村が課税(都道府県民税+市区町村民税で約10%+均等割)。毎年5〜6月頃に各従業員の住所地の自治体から月額の通知が会社に届く。
よくある質問
日本の給与計算でよくある質問
月額50万円の給与で手取りはいくらになりますか?
東京都・事務/IT業界・扶養なし・40歳未満の独身者の場合、月額50万円(額面)の手取りは概ね38.5万〜39.5万円程度になります。実際の金額は、都道府県(健康保険料率)、業種(労災保険料率)、扶養人数、介護保険対象かどうかにより変動します。正確な値は上のシミュレーターで試算してください。
労災保険料率はどの業種でも同じですか?
いいえ。日本の労災保険料率は事務・IT・コンサル等で約0.25%、一般の建設業で9.5%まで、約50区分に分かれています。厚生労働省が業種別料率表を公表しています。労災保険料は全額会社負担で、給与明細から控除されることはありません。シミュレーターの「業種」セレクトでは主要な業種について標準的な料率を使用しています。
介護保険料はいつから・いつまで発生しますか?
介護保険料は40歳到達月から発生し、65歳到達月で自動的に対象外になります。2025年度の料率は標準報酬月額に対して約1.59%、労使折半です。65歳以降は給与天引きではなく、各市区町村に直接納付する形に切り替わります。
額面欄に賞与は含めますか?
含めません。シミュレーターの額面欄は、月額の基本給と固定の月次手当(通勤手当、役職手当など)を入力してください。賞与は支給ごとに別の計算式で社会保険料・税金が算定されます。年間コストを概算する場合は、月額結果を12倍して別途賞与計算を加算してください。
東京と大阪で健康保険料率はなぜ違うのですか?
中小企業の多くが加入する協会けんぽは、各都道府県の医療費水準に応じて毎年度料率を設定しています。2025年度の幅は約9.31%(新潟、最低)〜10.78%(佐賀、最高)。東京は9.91%、大阪は10.34%です。料率は労使折半となります。
実際の給与明細とどの程度一致しますか?
通常のケースでは数百円以内の精度です。健康保険・厚生年金は標準報酬月額表、健康保険は選択した都道府県の2025年度協会けんぽ料率、雇用保険は厚労省の2025年度料率、所得税は国税庁の月額表(甲欄)を使用しています。差異の主な原因は、給与計算ソフトの端数処理、特殊な通勤手当、年度途中の標準報酬改定、扶養申告内容の細かな違いなどです。
標準報酬月額とは何ですか?
健康保険と厚生年金の保険料は、実際の給与額そのものではなく、給与額を「標準報酬月額」というグレードに当てはめて計算します。健康保険は¥58,000〜¥1,390,000の50等級、厚生年金は¥650,000を上限とする32等級です。等級は通常、4〜6月の平均給与から9月に決定し、3か月連続で2等級以上の変動がある場合のみ年度途中で改定されます。
新規来日の従業員でも住民税の概算は使えますか?
住民税は前年所得に基づくため、来日初年度は基本的に給与天引きでの住民税納付はありません。各市区町村から毎年5〜6月に向こう12か月分の月額通知が会社に届きます。シミュレーターの自動推計は、現在の給与が前年とほぼ同じ水準のケースを想定しています。海外からの新規採用者の場合、初年度は住民税欄を0にし、2年目以降に通知された実額を入力してください。
従業員が65歳になるとどう変わりますか?
65歳到達で介護保険料の給与天引きが終了します(以降は市区町村への直接納付)。厚生年金は引き続き就業する限り70歳まで継続、健康保険も継続します。70歳以降、対象者は75歳から後期高齢者医療制度に移行します。シミュレーターでは40〜64歳のチェックを外せば65歳以上のケースに対応できます。
ご注意。 本シミュレーターは概算値を示す参考情報であり、専門家による助言の代替ではありません。日本の給与計算・社会保険・税務のルールは複雑で、毎年改定されます。実際の給与・採用・報酬に関する判断を行う前に、必ず社会保険労務士または税理士などの専門家にご相談ください。