残業代計算機
労働基準法第37条の割増賃金(割増賃金)を計算。 時間外労働、月60時間超、深夜労働、法定休日労働、それらが重複する場合の合算率まで対応。
残業代計算ツール
仕組み
日本の割増賃金(残業代)の仕組み
日本の割増賃金は労働基準法第37条(労基法第37条)で定められています。 法定の通常賃金に上乗せする4種類の基本割増率があり、それらが重複する場合は加算されるため、 労働時間の種類に応じて実効7段階の割増率になります。
1. 4つの基本割増率
- 法定時間外労働 1.25倍(法定時間外労働):1日8時間または週40時間を超える労働時間。
- 月60時間超の時間外 1.50倍:2010年に大企業に導入され、 2023年4月から中小企業を含む全企業に適用拡大。
- 深夜労働 1.25倍(深夜労働):22:00〜05:00の労働時間。 所定内・所定外を問わず適用。
- 法定休日労働 1.35倍(法定休日労働):労基法第35条が定める週1回の 法定休日(多くの場合は日曜日)の労働。
2. 重複時の実効7段階
深夜・時間外・法定休日労働の割増は加算されます。ルールは:深夜は常にどの基本率にも+0.25が 加算されますが、法定休日労働と時間外労働は重ねて加算しません(法定休日は時間外労働の 1.25倍とは別カテゴリで、独自の1.35倍として処理)。
- 深夜(所定内):1.25倍
- 時間外 ≤ 月60時間:1.25倍
- 時間外 ≤ 月60時間 × 深夜:1.50倍(1.25 + 0.25)
- 時間外 > 月60時間:1.50倍
- 時間外 > 月60時間 × 深夜:1.75倍(1.50 + 0.25)
- 法定休日:1.35倍
- 法定休日 × 深夜:1.60倍(1.35 + 0.25)
3. 時給換算の計算式
割増率を掛ける1時間あたり賃金は次のとおり計算します:
1時間あたり賃金 = 月の基本給 ÷ 月平均所定労働時間
月平均所定労働時間 = (365日 − 年間休日数)÷ 12 × 1日の所定労働時間
例:月給30万円、年間休日120日、1日8時間 →
(365 − 120) ÷ 12 × 8 = 163.33時間、
300,000 ÷ 163.33 = 1,837円/時。
4. 算定基礎から除外する手当
労基法施行規則第21条により、以下7項目は割増賃金の算定基礎から除外されます。 労働そのものへの対価ではないためです:
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当(実費比例の場合に限る、定額の住宅手当は除外不可)
- 臨時に支払われる賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
5. 2023年4月改正:中小企業も1.50倍
2023年3月までは月60時間超の時間外労働に対する1.50倍率は大企業のみに適用されていました。 労基法第37条の改正により、2023年4月1日から中小企業を含む全企業に 同じ閾値・同じ割増率が適用されるようになり、企業規模による差は解消されました。 本ツールに中小企業向けの除外設定がないのはこのためです。
6. 未払い割増賃金の罰則
労基法第119条により、違反1件につき6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 が科される可能性があります。民事請求では未払い額に加えて遅延利息(年14.6%)が付きます。 請求権の時効は2020年4月の改正で2年から3年に延長され、 将来的に5年への延長が予定されています。
7. 知っておくべき例外
- 管理監督者(労基法第41条):時間外・休日・週の上限規制から除外されますが、 深夜労働の1.25倍割増は引き続き適用されます。
- 固定残業代(みなし残業):適法であるためには、対象時間数・算定基礎・ 超過時の正規割増率での支払いが契約書に明示されている必要があります。 要件を満たさない場合は無効と判断され、固定額全体が基本給に算入される可能性があります。
- 法定休日 vs 法定外休日:1.35倍は法定休日(労基法第35条)のみに適用。 会社所定休日(土曜日など)の労働は週40時間を超える場合に時間外として処理されます。
- 変形労働時間制:1か月単位、1年単位、フレックスタイム制では、 「法定時間外」の判定方法が異なります(清算期間で平均する)が、割増率自体は変わりません。
用語
主要な用語と概念
割増賃金
通常の1時間あたり賃金に上乗せして支払う、時間外労働・深夜労働・法定休日労働に対する法定の加算分。基本4率(1.25・1.50・1.25・1.35)と重複時の合算は法定の最低基準で、就業規則でこれより高くすることは可能ですが、低くすることはできません。
法定時間外労働
1日8時間または週40時間を超える労働時間。1.25倍の割増対象であり、36協定の上限規制にも算入されます。所定労働時間を超えても法定労働時間内の時間(所定時間外)は、就業規則で定めない限り通常賃金で支払います。
深夜労働
22:00〜05:00の時間帯に行った労働。1.25倍の割増は時間外であるかにかかわらず適用されます。深夜割増は、時間外・休日規制の適用除外となる管理監督者にも引き続き適用される唯一の割増です。
法定休日労働
労基法第35条が定める週1日(または4週4日)の法定休日に行った労働。1.35倍の割増対象。法定休日は独自カテゴリで、時間外労働として二重カウントしません。
算定基礎賃金
割増率を掛ける賃金。通常の月給から、労基法施行規則第21条で定める7項目(家族・通勤・別居・子女教育・実費比例の住宅・臨時手当・賞与)を除いた額。
月平均所定労働時間
時給換算の分母。標準的な算式:(365日 − 年間休日数)÷ 12 × 1日の所定労働時間。就業規則で固定値(160時間や173時間など)を採用する企業もあり、本ツールは「上書き」入力欄で対応しています。
固定残業代(みなし残業)
月の一定時間数の残業をあらかじめ手当として支払う方式。対象時間数と算定基礎が契約書で明示され、超過分は本ツールで算出される正規割増率で支払うことが確認されている必要があります。要件未充足の場合、無効と判断され、固定額全体が基本給に算入される可能性があります。
よくある質問
残業代に関するよくある質問
中小企業も月60時間超は1.50倍を支払う必要があるか?
はい。2023年4月1日以降、月60時間超の時間外労働の1.50倍率は、企業規模を問わずすべての企業が対象です。同日より前は大企業のみが対象でした。
残業代の支払期限は?
割増賃金は、その労働を行った賃金計算期間に対する次の通常の給与支払日に併せて支払う必要があります(労基法第24条 全額・定期支払いの原則)。支払い遅延にも遅延利息が課されます。
パート・アルバイトも同じ割増率?
はい。労基法第37条はすべての労働者に適用されます。時給制の場合は時給そのものが算定基礎となるため計算方法は異なりますが、1.25・1.50・1.25・1.35の各率と重複時の合算ルールは同じです。
歩合給がある場合の算定基礎は?
月ごとに支払われる歩合給・業績給は、通常の月給の一部として算定基礎に含まれます。四半期以下の頻度で支払われる歩合は賞与の除外規定に該当するため、算定基礎から除かれます。
労働が深夜をまたぐ場合は?
各時間帯ごとに分類します。21:00〜22:00は深夜ではありませんが、22:00〜05:00は深夜です。同じシフト内で1日8時間や週40時間を超えた場合、深夜割増と時間外割増が加算され1.50倍(月60時間超なら1.75倍)となります。
所定時間外労働との違いは?
所定時間外労働は所定労働時間を超えても法定労働時間(8h/日・40h/週)以内の時間。法定上の割増義務はなく、就業規則の定めによります。本ツールは法定割増賃金のみが対象。所定時間外への割増がある場合は就業規則をご確認ください。
月60時間超の割増分は代替休暇に振り替えられる?
はい。労使協定の締結により、月60時間超の時間外労働に対する追加0.25倍分を代替休暇(代替休暇)として与えることが可能です。基本の1.25倍部分は引き続き現金で支払い、追加の0.25倍分のみ休暇に振り替えできます。
1日の所定労働時間が7.5時間など短い場合は?
所定の7.5時間を超えて法定の8時間以内の労働時間は、就業規則で別段の定めがない限り通常賃金で支払います。法定割増(1.25倍)は1日8時間または週40時間を超えた時点から発生します。
免責事項。 本ツールは労基法第37条の法定最低割増率を実装したものであり、 一般的な情報提供を目的としています。法的助言を構成するものではありません。 業種別の特例、各社固有の就業規則、固定残業代の運用、特殊な事案 (変形労働時間制、フレックスタイム、期中変更など)では結果が異なる場合があります。 具体的な判断は社会保険労務士にご相談ください。