リファラル採用とは?報酬のルールと縁故採用との違い

リファラル採用とは、社員が知人や友人を紹介し、ほかの応募者と同じ選考で決める採用方法です。縁故で入社した人は2025年の入職者の21.4%(雇用動向調査)。紹介した社員への報酬は、賃金として払うのがルールです。

  • 同じ選考で決める
  • 入職者の21.4%が縁故
  • 報酬は賃金で払う
最終更新
社員の紹介で応募した人が、ほかの応募者と同じ選考の道に並ぶイラスト

この記事の要点

5つのポイントで、リファラル採用の仕組みとルールを確認できます

  1. リファラル採用は、社員の紹介で出会い、ほかの応募者と同じ基準で選考する採用方法です。会社とのつながりが採用の条件になる縁故採用とは、選考の基準が違います。
  2. 知人・友人などの縁故で入社した人は、2025年の入職者の21.4%。従業員5〜29人の企業では37.1%です。
  3. 紹介した社員への報酬は、規程に書いて賃金として払います。職業安定法第40条は募集に従事する社員への賃金以外の報酬を禁じており、違反は6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象です。
  4. 報酬の相場は10万円前後です。導入企業の40.9%は報酬を払っておらず、払う場合は「1〜10万円未満」が最も多い回答です。
  5. 紹介で入った人は辞めにくいという研究がある一方、紹介は似た人を集めやすいため、ほかの採用経路と組み合わせて使います。

基本

リファラル採用とは:社員の紹介で出会い、ほかの応募者と同じ選考で決める採用

リファラル採用とは、社員が自社に合いそうな知人や友人を求人に紹介し、ほかの応募者と同じ基準で選考する採用方法です。「社員紹介制度」とも呼ばれます。

「リファラル」は英語の referral で、英和辞典では「照会」「推薦」「差し向け」と訳され、紹介された人そのものも指します(研究社 新英和中辞典)。採用で使うときは「社員による紹介」の意味です。

法律の上では、リファラル採用は会社が行う「労働者の募集」です。職業安定法第4条は、雇おうとする者が自ら又は他人に委託して、自社の従業員になるよう勧めることを「労働者の募集」と定め、求人者と求職者の間で雇用関係の成立をあっせんする「職業紹介」と分けています。社員が会社の指示で知人に応募を勧めるのは、厚生労働省の募集・求人業務取扱要領でいう「直接募集」にあたり、「原則として自由に行うことができる」とされています。そのため、自社の社員による紹介に職業紹介の許可は要りません。

紹介から入社までは、一般に次の順で進みます。社員の役割は、候補者に会社の実際を伝え、人事につなぐところまでで、選考と合否は人事が受け持ちます。

リファラル採用の流れと、それぞれの段階で動く人
段階誰がすること
声をかける社員募集中の求人に合いそうな知人や友人に、会社と仕事の実際を伝える
人事に紹介する社員本人の同意を得て、決まったフォームで人事に伝える
面談する人事カジュアル面談や職場見学の場を設ける
選考する人事・面接官本人の応募を受け、ほかの応募者と同じ基準で選考する
結果を伝える人事本人に結果を伝え、紹介した社員にも結果と感謝を伝える
報酬を払う会社入社後、規程の条件を満たしたら紹介した社員に報酬を払う

リファラル制度(社員紹介制度)とは

リファラル制度(社員紹介制度)とは、会社がリファラル採用を続けるために決めておくルールの一式です。誰が紹介できるか、どの求人が対象か、報酬はいくらで、いつ、どんな条件で払うか、紹介された人をどう選考するかを書きます。たとえば富士通の制度は、正規従業員と契約社員を紹介者とし、「紹介者である社員が、選考プロセスに関与することはありません」「すでに選考に進んでいる方は対象外となります」と定めています(富士通 リファラル採用制度)。書く項目は始め方の表にまとめています。

比較

リファラル採用と縁故採用の違い:つながりは応募のきっかけか、採用の条件か

違いは選考の基準です。リファラル採用では、紹介は応募のきっかけにすぎず、合否はほかの応募者と同じ基準で決めます。縁故採用(コネ採用)では、会社とのつながりそのものが採用の条件になります。

「縁故」は「血縁・姻戚などによるつながり」「人と人との特別なかかわりあい」のことです(デジタル大辞泉)。縁故採用は、求職者に会社との何らかの縁故があることを採用の条件とする採用で、法律上の明確な規制はありません(日本の人事部 人事労務用語辞典)。

ただし、厚生労働省は採用選考を「応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと」を基本としています(公正な採用選考の基本)。家族の職業なども「本人に責任のない事項」に挙げられています(公正採用選考特設サイト)。紹介者が誰かで合否を変えると、リファラル採用ではなく縁故採用になり、この基本から外れます。

リファラル採用・縁故採用・人材紹介の違い
項目リファラル採用縁故採用(コネ採用)人材紹介(エージェント)
候補者との出会い方社員の知人・友人経営者・社員・取引先などの親族や関係者職業紹介事業者が候補者を紹介する
選考ほかの応募者と同じ簡略にしたり省いたりすることがある会社の通常の選考
合否を決めるもの仕事に必要な適性・能力会社とのつながりが条件になりうる仕事に必要な適性・能力
お金の流れ会社が紹介した社員に報酬(賃金として)通常はなし会社が事業者に手数料(常用就職1件あたり平均約103万円)
法律上の扱い労働者の募集(直接募集)明確な規制はない職業紹介(厚生労働大臣の許可が必要)

手数料は厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」の常用就職1件あたりの平均で、全職種を含みます。法律上の扱いは職業安定法第4条・第30条によります。

紹介キャンペーンの条件の一つに、紹介する相手が親族かどうかの申告を入れておくことを私は勧めています。兄弟やいとこを紹介すること自体は、必ずしも悪いことではありません。紹介される人の多くは社員の友人で、紹介者はもともと候補者に好意的な立場にいます。大切なのは、採用する側(採用担当者、人事、面接する管理職)が、客観的な選考の手順と面接の進め方でその偏りを抑えることです。親族でもほかの紹介でも、紹介のされ方によって採用基準を通りやすくなる候補者がいてはいけません。厳格で公平な選考を保てるなら、親族の紹介も問題にはならないと私は考えています。

統計では、知人・友人からの入社も「縁故」に数えられる

国の統計は、リファラル採用とコネ採用を分けていません。厚生労働省の転職者実態調査は、入社の経路を「縁故(知人、友人等)」として集計しています(令和7年転職者実態調査の概況)。次の章の「縁故」の数字には、社員紹介も、親族のつながりも、前の会社からの縁も入っています。

統計

知人・友人などの縁故で入社した人は、2025年の入職者の21.4%

2025年に企業へ入った7,526.8千人のうち、縁故で入った人は1,609.2千人(21.4%)でした。広告(32.3%)に次ぐ2番目の経路で、民営職業紹介所(7.7%)の約3倍です(厚生労働省「令和7年雇用動向調査」)。

2025年の入職者 7,526.8千人の入職経路

厚生労働省「令和7年雇用動向調査」

広告
32.3%
2,428.2千人
縁故
21.4%
1,609.2千人
ハローワーク
15.3%
1,151.1千人
民営職業紹介所
7.7%
581.0千人

ハローワークはインターネットサービス経由を含みます。ほかに学校6.2%、出向・出向先からの復帰2.8%、その他14.4%。縁故には「前の会社」経由の330.6千人を含みます。割合は公表された人数から当サイトで計算しています。

縁故で入社した人の割合(企業規模別、2025年)

厚生労働省「令和7年雇用動向調査」

  • 縁故
  • ほかの経路

1,000人以上入職者 2,716.9千人

300〜999人入職者 1,321.3千人

100〜299人入職者 1,125.0千人

30〜99人入職者 1,113.1千人

5〜29人入職者 969.5千人

同じ表で、民営職業紹介所の割合は1,000人以上で8.8%、5〜29人で2.6%です。割合は公表された人数から当サイトで計算しています。

会社が小さいほど、社員や経営者のつながりで人を採っています。転職して入社した人(5,061.8千人)に限ると縁故は24.0%、民営職業紹介所は9.3%でした。

制度として取り入れる会社も増えています。東京商工リサーチの調査(2026年6月、6,475社)では、リファラル採用を取り入れている企業は49.2%で、大企業は60.4%、中小企業は48.3%でした。この数字には、退職者を再び採るアルムナイ採用と両方を取り入れている企業を含みます(東京商工リサーチ)。採用支援会社TalentXの調査では実施企業が70.5%ですが、対象は同社に問い合わせた企業が中心の2,073社です(TalentX)。マイナビの調査では、2025年に中途採用をした担当者の27.9%がリファラル採用を使っていました(中途採用状況調査2026年版)。

健全なリファラル採用の割合は、目安として採用全体の5%から40%ほどです。ただ、自社にとってどこが最適かは、社員の顔ぶれ、組織の規模、募集する職種がどれだけ専門的かによって大きく変わります。紹介で来る候補者の質や、入社後にどれだけ会社に貢献しているかによっても変わり、社風への影響とあわせて見る必要があります。

たとえば私が多国籍企業の採用を担当していたとき、リファラル採用の割合が42%に達したことがあります。人材の面では、業界から優秀な候補者が絶えず集まり、実際に大きな価値を生みました。一方で、紹介で入る人は今の社員とよく似た経歴になりがちで、スキルや考え方の多様性が損なわれました。

新卒採用でのリファラル採用

新卒採用でも、内定者や若手社員が後輩や友人を紹介する形で使えます。ただ割合は小さく、2025年に入社した新規学卒者1,275.8千人のうち縁故は12.4%で、学校経由(30.2%)や広告(29.3%)を下回ります(令和7年雇用動向調査、当サイトで計算)。報酬や選考のルールは中途採用と同じです。

効果

リファラル採用のメリット:辞めにくく、採用費用が小さい

数字で確かめられるメリットは二つです。紹介で入った人は辞めにくく、1人を採る費用が小さくなります。ほかのメリットは仕組みから来る理屈で、数字の裏づけはまだありません。

定着について、東京商工リサーチの調査では、従業員の定着率が高い採用方法として「リファラル採用」を挙げた企業が18.5%で最も多く、ハローワーク経由の中途採用(12.1%)、新卒採用(10.4%)、転職エージェント(5.4%)を上回りました。中小企業ではリファラル採用が19.0%で1位、大企業では新卒採用が26.5%で1位です。これは各社がどの経路を選んだかの割合で、定着率そのものではありません。40.4%は「大差ない」と答えています(東京商工リサーチ)。

海外の研究も同じ方向です。米国の大企業9社のデータでは、紹介で入った人は辞める確率が大幅に低く、生産性はほとんどの指標で紹介以外の人と同程度で、1人あたりの利益は高くなりました。利益の差は、離職の少なさと採用費用の低さから来ています(Burks ほか、Quarterly Journal of Economics, 2015)。別の米国企業の研究では、紹介された候補者は採用されやすく、在籍期間が長い一方、入社時の給与の差は時間とともに消えていました(Brown ほか、Journal of Labor Economics, 2016)。

リファラル採用のメリット(数字と出典つき)
メリット内容数字(出典)
辞めにくい職場の実際を紹介者から聞いて入るため、入社後の思い違いが少ない定着率が高い採用方法として挙げた企業18.5%(中小企業19.0%で1位)(東京商工リサーチ)。紹介入社者は離職が少ない(Burks ほか 2015)
採用費用が小さい広告費や紹介手数料がかからず、費用は社員への報酬と面談の経費が中心報酬の中央値10万円(TalentX)。人材紹介の手数料は常用就職1件あたり平均約103万円(厚生労働省)、中途採用の年間費用は1社平均609.9万円で、うち人材紹介が375.5万円(マイナビ)
内定を受けてもらいやすい紹介者を通じて会社を知っているため、入社の意思が固まりやすい紹介された応募者は採用されやすく、内定を受け入れやすい(Burks ほか 2015)
転職活動をしていない人にも届く求人サイトに登録していない人に、知人として声をかけられる数字の裏づけはなし(仕組みから来る理屈)
社員が会社の魅力を言葉にする紹介する社員が、自社を勧める理由を考える。エンゲージメントの確認にもなる数字の裏づけはなし

出典は本文と同じです。費用の比較は経路ごとの平均で、同じ求人を比べたものではありません。

研究の対象は米国企業で、日本の中小企業にそのまま当てはまるとは限りません。また「生産性が高い」ではなく「同程度」という結果です。紹介で入る人が特に優秀なのではなく、辞めにくく採用費用が小さいことが、この方法の強みです。1人あたりの採用費用は採用単価計算ツールで経路ごとに比べられます。

私の経験では、紹介で入った人は成果を出しやすい傾向があります。紹介者と同じチームで働く場合は特に職場になじみやすく、紹介者の顔をつぶせないという動機もあり、社風に合っていることも多いからです。自社で働くには何が必要か、日々どんな難しさがあり、どうすればなじめるかは、人事より社員のほうがずっとよく分かっています。社員の「直感」による判断は、たいてい信じてよいものです。社員は自分の経験から仕事を語れ、もともとの関係による信頼もあるため、会社にとっていちばんの営業担当でもあります。自社に合う人を社員が呼び込めるぶん、入社した人は早く仕事に慣れ、全体として高い成果を出すことが多くなります。

報酬

リファラル採用の報酬:相場は10万円前後、社員に賃金として払う

紹介した社員への報酬(紹介手当・謝礼)は、会社の規程に書いて、給与や賞与と同じ賃金として払います。相場は10万円前後で、報酬を払わない会社も4割あります。

ルールの元は職業安定法第40条です。募集を行う者は、募集に従事する自社の社員に対し、「賃金、給料その他これらに準ずるもの」を払う場合などを除き、報酬を与えてはならないと定めています。違反すると、6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象です(同法第65条)。紹介した社員への報酬が許されるのは、それが賃金として払われる場合だということです。

山形県の労働情報サイトも、社員紹介の報奨金は「賃金または給与で支払うことが必要になります」とし、報奨金の額や支給期日を就業規則や賃金規程に定める必要があるとしています(WEB労働やまがた)。常時10人以上を雇う会社は、臨時の賃金を定めるなら就業規則に書いて届け出る義務があります(労働基準法第89条)。10人未満の会社にこの義務はありませんが、支給の条件は書面で決めておきます。どこまでの額が「賃金に準ずるもの」と言えるかについて、労働基準監督署などの公的な見解は出ていません(BUSINESS LAWYERS)。ほかの手当とかけ離れた額は避けます。

リファラル採用の報酬額(導入企業 3,088社)

東京商工リサーチ(2026年6月)

報酬は払っていない
40.9%
1〜10万円未満
20.7%
100万円以上
0.8%

TalentXの調査(2,073社)では、紹介報酬の平均は121,806円、中央値と最頻値はともに10万円でした。

金額を上げれば紹介が増えるとは限りません。TalentXは、報酬額より制度の作り方が紹介の多さを左右するとしています(TalentX)。報酬の決め方は、払う時期と条件を先に決めることが大切です。一度払った賃金を後から取り戻すことは難しいため、「入社後○か月在籍したら支給」のように、払う前の条件で決めます(賃金の全額払い、労働基準法第24条)。

金額を決める前に、思い出してほしいことがあります。人が決まらず空いたままのポジションは、会社にとって非常に高くつきます。人材紹介会社で埋めれば、手数料は初年度の年収の30%ほどです。紹介報酬が社員の月給に比べて高く感じられても、払う価値は十分にあります。

中小企業には、1件15万円から30万円を私は勧めています。支給は試用期間が終わった後が理想です。紹介者にとって、長く働く人を紹介し、入社後に仕事に慣れるまで手助けする動機になるからです。

また、上限は設けないでください。よい人を紹介し続ける社員がいるなら、その分だけ報われてよいはずです。紹介は会社にも大きな利益をもたらすので、会社と社員の利害は一致しています。会社として広げていきたい、双方に得のある仕組みです。

紹介報酬を払うときのルール
決めることルール根拠
誰に払うか自社と雇用関係にある社員(パート・契約社員を含む)職業安定法第40条、募集・求人業務取扱要領
どう払うか給与や賞与と同じく、通貨で給与と一緒に払う。商品券や物品にしない労働基準法第11条・第24条
どこに書くか就業規則又は賃金規程に、額・条件・支給日を書く労働基準法第89条、山形県の案内
所得税給与所得として源泉徴収する所得税法第28条
社会保険年3回以下の支給なら賞与として扱い、5日以内に賞与支払届を出すのが一般的。扱いは年金事務所に確認日本年金機構

報酬を払う相手:社員以外に払うときは許可が要る

第40条が認めるのは、自社の社員(被用者)への賃金です。被用者は「事業主と雇用関係にある者」と定義されており、退職した元社員(アルムナイ)、社外の友人、取引先は含まれません。社員以外に報酬を払って募集をしてもらうことは「委託募集」にあたり、厚生労働大臣の許可と報酬額の認可が必要です(職業安定法第36条)。紹介を仕事として続ける人に払えば、許可のない職業紹介と見られるおそれもあります(同法第30条)。社員以外からの紹介は歓迎しても、報酬を払う相手は自社の社員に限ります。

報酬にかかる税金と社会保険

社員への紹介報酬は給与所得なので、給与や賞与と同じく所得税を源泉徴収します(所得税法第28条)。社会保険では、労働の対償として年3回以下払われるものは名称にかかわらず賞与として扱われ、支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を出します(日本年金機構)。一方で「臨時に受けるもの」は報酬に含まないという定めもあり(日本年金機構 FAQ)、紹介報酬をどちらで扱うかを示した公式の資料は見つかりませんでした。初めて払う前に、管轄の年金事務所に確認してください。

手順

リファラル採用の始め方:制度を作って社内に告知する6つの手順

リファラル採用は、ルールを決めてから社内に告知します。手順は6つで、報酬を規程に書くこと(手順3)と、紹介された人の同意を得ること(手順5)が抜けやすいところです。

  1. 紹介を募る求人と人物像を決める

    求人ごとに、仕事の内容、必要な経験、人物像を社員が説明できる言葉で書きます。誰を紹介すればよいかが分からないと、紹介は起きません。

  2. 社員紹介制度のルールを決める

    紹介できる人、対象の求人、報酬額、支給の条件と時期、支給しない場合、紹介の手順を決めます。下の表に書く項目をまとめています。

  3. 報酬を就業規則・賃金規程に書く

    常時10人以上の会社は就業規則に書いて労働基準監督署に届け出ます(労働基準法第89条)。10人未満でも書面にして全員に見せます。条文の書き方は就業規則のテンプレートを参考にできます。

  4. 社内に告知する

    社内告知では、募集中の求人、求める人物像、報酬と条件、紹介の手順、不採用もあることを伝えます。求人の内容は正確で最新のものにし、変わったら告知も直します(職業安定法第5条の4)。告知は一度で終わらせず、求人が変わるたびに出します。

  5. 本人の同意を得て紹介を受け付ける

    社員には、知人に話して了承を得てから連絡先を人事に伝えてもらいます。会社は応募者の個人情報を、採用のためという目的を明らかにして、その範囲で集めます(職業安定法第5条の5、個人情報保護法第21条)。

  6. 同じ基準で選考し、結果を紹介者に伝える

    紹介した社員は選考に加えず、ほかの応募者と同じ基準で合否を決めます。結果は紹介者にも伝え、紹介への感謝を伝えます。不採用の理由の詳細は候補者本人の情報なので、紹介者には伝えすぎないようにします。

中小企業が始めるなら、社員紹介をきちんとした「紹介キャンペーン」として形にするのがよいと私は考えています。期間を区切っても、常設でもかまいません。社員に動いてもらうには報酬が必要で、私の経験では紹介報酬(紹介ボーナス)が最もよく機能します。そのうえで条件と手順を文書にまとめ、全社員に共有して、誰にでも紹介の機会があるようにします。決まりがあいまいで具体的な報酬もない募集は、紹介する側に得るものがないため、多くはすぐに立ち消えになります。

社員紹介制度に書く項目
項目書き方の例理由
紹介できる人正社員・契約社員・パートタイマーなど、在籍する従業員報酬を払えるのは自社の社員だけ(職業安定法第40条)
対象の求人社内に告知した募集中の求人対象を限ると、告知と選考の準備がしやすい
対象外すでに応募・選考中の人、人事・採用担当者や選考に関わる管理職の紹介二重の支給と、選考への影響を避ける
報酬額1件○万円(職種ごとに分けてもよい)額を規程に書く(労働基準法第89条)
支給の条件と時期入社後○か月在籍した月の給与と一緒に支給払った後で取り戻すのは難しい(同法第24条)
支給しない場合条件の前に退職した場合、紹介者が退職した場合争いを防ぐ
紹介の手順本人の了承を得て、決まったフォームで人事に伝える個人情報の取得目的を明らかにする(職業安定法第5条の5)
選考紹介者は選考に加わらず、ほかの応募者と同じ基準で選ぶ公正な採用選考の基本(厚生労働省)

リファラル制度 導入チェックリスト

制度を始める前に、上から順にチェックしてください。チェックした状態のままPDFにでき、印刷して社内の確認にも使えます。

リファラル採用

制度 導入チェックリスト

0 / 8 完了

職業安定法第5条の5・第36条・第40条、労働基準法第24条・第89条、日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」、厚生労働省「公正な採用選考の基本」に基づく確認項目です。

注意点

リファラル採用のデメリットとトラブル:同質化・不採用・早期退職への備え

リファラル採用のデメリットは、人が偏りやすいこと、人間関係が絡むこと、人数と時期を読めないことです。トラブルの多くは、制度を作るときのルールで防げます。

偏りについては研究があります。マラウイで行われた採用の実験では、男性は女性をほとんど紹介せず、女性を紹介するよう明示されれば適任の女性を紹介できたのに、成果報酬を付けても傾向は変わりませんでした(Beaman ほか、Journal of Labor Economics, 2018)。一方で、紹介者の行動しだいで、つながりによる偏りの大半を打ち消せるという分析もあります(Rubineau・Fernandez、Management Science, 2013)。偏りは避けられないものではなく、求める人物像の伝え方と、ほかの採用経路との組み合わせで抑えます。

リファラル採用のトラブルと防ぎ方
トラブル起きる理由防ぎ方
似た人ばかり集まる(同質化)社員は自分に近い人を思い浮かべやすい人物像を具体的に伝える。求人広告など、ほかの経路と並行して募集する
不採用で紹介者と候補者が気まずくなる紹介が「ほぼ採用」と受け取られる紹介の時点で、ほかの応募者と同じ選考で不採用もあると双方に伝える。結果と感謝を紹介者に伝える(候補者への連絡は不採用通知で)
早く辞めて報酬が問題になる入社時に払い、後から返してもらおうとする「入社後○か月在籍」など、払う前の条件で決める
紹介の強要・ノルマになる人数の目標を部署や個人に課す紹介は任意とし、紹介しないことを評価で不利にしない
本人の知らないところで個人情報が渡る社員が知人の履歴書や連絡先を先に送る本人の了承を得てから、決まったフォームで受け付ける

人数と時期も読めません。紹介は社員の知り合いの中に合う人がいるかどうかで決まり、すでに働いている人は退職の手続きに時間がかかります。急いで埋めたい求人は、求人広告や人材紹介と組み合わせます。採用までの日数の目安は採用期間ベンチマークで確かめられます。報酬を高くしすぎることも、賃金としての説明がつかなくなる点でリスクです(報酬のルール)。

FAQ

リファラル採用に関するよくある質問

リファラルとはどういう意味ですか?

英語の referral で、「紹介」「推薦」「照会」という意味です。紹介された人そのものを指すこともあります。採用で「リファラル」と言えば、社員による紹介のことです。

リファラル制度とは何ですか?

会社がリファラル採用のために決めるルールで、社員紹介制度とも呼ばれます。紹介できる人、対象の求人、報酬額と支給の条件、紹介の手順、選考の進め方を書きます。報酬を払うなら、額や条件を就業規則か賃金規程に書きます。

リファラル採用の謝礼(紹介報酬)はいくらですか?

10万円前後が多い水準です。東京商工リサーチの調査では導入企業の40.9%が報酬を払っておらず、払う場合は「1〜10万円未満」が最も多い回答でした。TalentXの調査では平均121,806円、中央値10万円です。報酬は賃金として、給与と一緒に払います。

リファラル採用は受かりやすいですか?

選考の基準はほかの応募者と同じなので、紹介だけで合格することはありません。ただ、米国の研究では、紹介された応募者はスキルが同程度でも採用されやすく、内定も受け入れやすいという結果が出ています。会社と仕事を事前に知っていることが理由と考えられます。日本で合格率を比べた公的な統計はありません。

紹介した友人が不採用になったら気まずくなりませんか?

なりやすいので、紹介の時点で「ほかの応募者と同じ選考で、不採用もある」と双方に伝えておきます。会社は紹介者に結果と感謝を伝え、不採用の理由の詳細は候補者本人の情報として扱います。

縁故採用(コネ採用)のデメリットは何ですか?

能力より会社とのつながりで採ると、仕事に合わない人を採るおそれがあり、ほかの社員から不公平に見えます。厚生労働省は、採用選考を応募者の適性・能力に基づいて行うことを基本としています。法律で禁止されてはいません。

リファラルのスペルは?

referral です。r が2つ、l が1つ続きます。リファラル採用は英語で employee referral(社員紹介)や referral hiring と言います。

新卒採用でもリファラル採用は使えますか?

使えます。内定者や若手社員が後輩・友人を紹介する形が一般的です。ただ、2025年に入社した新規学卒者のうち縁故は12.4%で、学校経由や広告より少ない経路です。報酬と選考のルールは中途採用と同じです。

退職者や社外の人に紹介報酬を払えますか?

報酬を払えるのは自社の社員に賃金としてだけです。社員以外に報酬を払って募集をしてもらうのは委託募集にあたり、厚生労働大臣の許可と報酬額の認可が必要です(職業安定法第36条)。紹介自体は歓迎しても、報酬は払わない設計が一般的です。

紹介報酬に税金や社会保険料はかかりますか?

社員に払う報酬は給与所得なので、所得税を源泉徴収します。社会保険では賞与として扱い、支給日から5日以内に賞与支払届を出すのが一般的ですが、扱いを示した公式の資料はないため、年金事務所に確認してください。

著者について

Emmanuel Gendre(SaiyouTeam代表)

Emmanuel Gendre

SaiyouTeam代表 · 日本の中小企業向け 人事・採用アドバイザー

  • 元Googleリクルーター
  • 採用経験12年

エマニュエルは、日本の中小企業に人事と採用のアドバイスを行っています。SaiyouTeam創業前は、Googleのリクルーターを含め、12年間採用の仕事に携わってきました。このガイドは、その助言の一部として、社員紹介を制度にするときの言葉の意味、統計、法律のルールを一つにまとめたものです。職業安定法・労働基準法と厚生労働省の統計に基づいて作成しています。

制度の設計や報酬の扱いは、個別の事情で変わります。個別のケースは、社会保険労務士や弁護士にご確認ください。

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公式情報源

このガイドは、以下の法令、統計、公的資料と、発行元を明記した調査・研究に基づいています。発行元のページで数字と根拠規定をご確認いただけます。

ご注意。本ページは2026年10月23日時点の法令と公表資料に基づく一般的な情報で、法的助言ではありません。統計の割合のうち「当サイトで計算」としたものは、公表された人数から計算しています。個別の判断は、社会保険労務士、弁護士又は管轄の労働局・年金事務所にご確認ください。